韓国の出版事情

今、韓国でどんな本が人気を博しているか、どんな新刊本があるかなど、韓国の出版事情をご紹介します。

話題の新刊

 2016年も下半期に入りました。『菜食主義者』でブッカー国際賞を受賞したハン・ガンの『흰(白い)』、本HPでもご紹介しました『7년의 밤(7年の夜)』の著者チョン・ユジョンの『종의 기원(種の起源)』など、ここ数か月の間に、話題の作家の新刊が続々と発表されています。今回はそんな話題の新刊の中から、日本でも『美しさが僕をさげすむ』が翻訳出版されている作家ウン・ヒギョンの新刊『중국식 룰렛(中国式ルーレット)』をご紹介します。「人生を予想外の方向へ導く“偶然”についての物語」 作家自身がそう紹介するのは、2008年に...

2016-07-18 (月)

英国における『菜食主義者』の評価とは

 5月17日、ハン・ガン作家の小説『菜食主義者』がアジア初のブッカー国際賞を受賞したという嬉しいニュースが飛び込んできました。155の候補作品の中から、その頂点にふさわしいと選定された『菜食主義者』に、アジアの国々からはもちろんのこと、世界中から称賛の声があがりました。その中から今回は、英国における『菜食主義者』の評価、講評をご紹介いたします。 ブッカー賞の審査委員長ボイド・トンキン氏は、『菜食主義者』を「強烈に記憶に残る、衝撃的かつ独創的な小説で、ブッカー国際賞受賞に十分に値する作品である」「まったくもって奇抜な...

2016-05-29 (日)

韓国における子どもと読書

 もうすぐ5月5日、こどもの日。お隣の国、韓国でも5月5日はこどもの日で、祝日となっています。出版都市として有名なパジュブックシティでは、こどもの日に合わせ、童話作家がお話の中の空間を再現した「不思議なおかしな絵本村」の展示、出版社が読者を社内に招待する「出版社オープンハウス」、童話の主人公に扮した子どもたちによる「ブックシティ子どもパレード」など、多数のイベントが開催されます。 さて今回は、韓国における子どもと読書に関する動きをご紹介します。 家庭の所得格差に左右されることなく、すべての赤ちゃん、子どもたちに絵本...

2016-05-03 (火)

韓国出版文化産業振興院による推薦図書の紹介

 桃の節句も過ぎ、あちらこちらから春の便りが届く季節になりました。 今回は、韓国出版文化産業振興院から毎月発表される推薦図書の1月、2月の回から、いくつかの作品をご紹介します。『바느질하는 여자』김숨 (『針仕事をする女』 キム・スム)  現代文学賞、李箱文学賞など、数々の文学賞を受賞してきた作家、キム・スムによる、ヌビ(韓国伝統のキルト)に一生を捧げた母、ジェスクと、彼女の娘たちの人生を描いた長編小説です。生きるため、娘たちを育てるためにヌビひと筋で生きてきた母。ひと針ひと針、修練と忍耐を要する作業の繰り返しで仕...

2016-03-06 (日)

韓国ミステリー事情

 前回、前々回と韓国のジャンル小説の流れについてご紹介しましたが、今回は、創刊10周年を迎えた『本 格ミステリー・ワールド2016』(島田荘司監修 南雲堂)に掲載のコラム、「韓国ミステリー事情(2015)」の全文をご紹介します。韓国ミステリー事情 2015年、韓国ミステリー界における最大の話題は、隔月発行のミステリー専門誌『ミステリア(MYSTERIA)』(2015、Elixir)の創刊だろう。『ミステリア』は、読者とミステリー文学関係者の期待と不安が入り交じる中、大型総合出版社、文学トンネのミステリー小説専門レー...

2016-03-05 (土)

韓国の「ジャンル小説」の流れを見る②

韓国のジャンル小説について、『日本語で読みたい韓国の本-おすすめ50選』第3回に掲載のコラムを引き続きご紹介します。純文学にも影響ジャンル小説と同様に、最近は純文学にも少しずつ変化が起こっている。ミステリーや推理、スリラー、SFなど、純文学の作家によるジャンルの技法を用いた作品が出版されているのだ。こうした作品群は一部で中間小説、またはスリップストリームと称されてもいるが、それはあくまでも以前の小説群と異なる特性を区別するためであって、特別な意味はないと考える。しっかりした文章と表現力で武装したこの作品群は、東野圭...

2016-03-05 (土)

韓国の「ジャンル小説」の流れを見る①

 今週と来週は、韓国のジャンル小説について、『日本語で読みたい韓国の本-おすすめ50選』第3回に掲載のコラムを2回にわたってご紹介します。韓国の「ジャンル小説の流れ」を見る。SFというジャンルの想像力大学時代に卜・鉅一(ポク・コイル)の『碑銘を求めて(映画:ロストメモリーズの原作)』を読んだことを思い出す。この小説はサブタイトル「京城・昭和六十二年」からも分かるように、韓国が日本に併合された状態が1987年まで続いているという代替歴史(Alternative history)小説だ。初めて触れた『碑銘を求...

2016-02-01 (月)

韓国を代表する知識人、申榮福(シン・ヨンボク)教授逝去

教保文庫による2015年ベストセラーランキング、人文学関連部門で第5位、総合部門でも第20位にランキングされた『담론~신영복의 마지막 강의(談論~シン・ヨンボク、最後の講義)』の著者であるシン・ヨンボク聖公会大客員教授が今月15日、逝去されました。聖公会大学の聖堂に設けられた献花台には数多くの教え子や同僚、政治家たちが訪れ、別れを惜しみました。日本でも人気の韓国焼酎처음처럼(チョウムチョロム、初めてのように)のラベルに書かれた文字と絵も、書家としても有名だったシン教授の手によるものです。  1963年にソウル大学...

2016-01-25 (月)

2015年ベストセラーランキング

昨年末、韓国の主要書店「教保文庫」とインターネット書店「YES24」から相次いで2015年ベストセラーランキングが発表されました。昨年のベストセラー総合第1位は、日本でも「アドラー心理学」ブームを巻き起こした『미움받을 용기-자유롭고 행복한 삶을 위한 아들러의 가르침』(原題:嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え  岸見一郎、古賀史健)。「YES24」では、年間通算40週1位の記録を打ち立てるほどの人気を博しています。ほかに上位を占めているのは、教養知識を一般読者向けに易しく解説した『지적 대화를 위...

2016-01-05 (火)