今週の本

「日本語で読みたい韓国の本」、「日本語で読める韓国の本」に新しく投稿された本です。

ぞうのお父さんと100つぶのしずく

2013年ブラティスラヴァ世界絵本原画展「金のリンゴ賞」を受賞した韓国の絵本を紹介します。ピクセルアートという斬新な手法で描かれた、親子で楽しめる最先端の絵本です。原題:코끼리 아저씨와 100개의 물방울(CHEKCCORI BOOK HOUSEで発売中です。)出版日:2012年7月5日                             発行元:ムナクトンネ(문학동네)          ISBN-13:9788954618618 頁数:56 判型:257×215mm●概略  ぞうのお父さんが、子どもに水を...

2016-08-21 (日)

西村午後4時―西村ではじめた新しい人生

 「人生時計」という言葉をご存知でしょうか。人の寿命を80年として、一生を時計の24時間で換算した場合、今の年齢は何時に当たるかということです。働き盛りの40代なら正午から15時、還暦を迎えるころは18時となります。今回ご紹介する『西村午後4時-西村ではじめた新しい人生』の著者キム・ミギョンは、50代になってから新人画家として活躍し始めました。タイトルについて、「人生を1日にたとえるなら、50代半ばという年齢は太陽が西にぐっと傾きはじめる午後4時ごろに当たる」とし、「単なる西村の紹介ではなく、人生の午後4時を西村で...

2016-08-14 (日)

慟哭 神よ、答えたまえ

 前回に続き、朴婉緒さんの作品を紹介します。「これは小説でもエッセイでもなく日記です。いつか活字になることを念頭に置くとか、誰かが読むことになるかもしれない、といった心配などをするどころではない極限状態において慟哭の代わりに書いたものです」で始まる、『慟哭 神よ、答えたまえ』(加来順子訳 かんよう出版)は、医師の息子を不慮の事故で亡くした著者が、なぜ、神は私に、息子にこんな試練を与えたのか、私の何が悪いのかと神に激しく毒づき、落ち込み、生きていたくないのに生きている自分と格闘し、立ち直るまでの胸のうちを赤裸々に綴っ...

2016-08-07 (日)

新女性を生きよ

   韓国の国民的な女性作家といえば、朴婉緒(パク・ワンソ)が挙げられます。小説、随筆など、数々の作品を残し、多くの人に愛された作家です。 そんな朴婉緒の自伝小説『新女性を生きよ(原題:どこにでもあったあのスイバは誰が食べつくしたのか)』(朴福美訳 梨の木舎)をご紹介します。韓国では20万部刊行のベストセラー作品です。 1931年生まれの朴婉緒が幼少時代を過ごした故郷の朴積谷と、学齢期から大学入学までを過ごしたソウルの峴底洞が舞台となっています。朴婉緒の青春時代は、日本統治時代と解放後の朝鮮戦争に重なります。両班の...

2016-07-23 (土)

アコースティックライフ1

 韓国でウェブで連載され大人気を博し、コミックス化、ドラマ化、映画化され、いずれも大ヒットしたビジネス漫画『未生/ミセン』。日本でも先月、講談社から邦訳版が刊行され、早速話題になっています。韓国ではこのようにウェブで人気を集め、コミックス化される作品が多くあります。その中から、ほのぼのとした味わいが特徴のコミックエッセイ『アコースティックライフ1』をご紹介します。アコースティックライフ1原題:어쿠스틱라이프 1(CHEKCCORI BOOK HOUSEでも発売中です。)        出版日:2012年4月24日 ...

2016-07-10 (日)

ワンダーボーイ

 暗澹たる1980年代の韓国社会を、超能力を得た15歳の少年を通して寓話的に描いた『ワンダーボーイ』(キム・ヨンス著 きむ ふな訳)を紹介します。韓国社会が暴圧的な政治状況にあった1984年秋から1987年夏までを舞台に、著者は流麗な文体と言葉のセンス、おびただしい宇宙的な数字で、様々な人々の心の痛みと、それに共感する空間を描き出しています。(原書もCHEKCCORI BOOK HOUSEでお買い求めいただけます。)『ワンダーボーイ』  父が生きた42年というのは、あまりにも短い時間です。星の数と比べると、それはな...

2016-07-03 (日)

思想の薔薇

 「韓国探偵小説の父」金来成(キム・ネソン)と、探偵小説として初めてベストセラー作品となった『魔人』(祖田律男訳 論創社)について、以前こちらでご紹介しましたが、日本語で読める彼の他の作品として『金来成探偵小説選』(論創社)があります。今回はこの中から、探偵小説「思想の薔薇」と随筆「鍾路の吊鐘」をご紹介します。「思想の薔薇」は、金来成が最初日本語で書き、その後、自身の手で韓国語に書き直したものを、翻訳者の祖田律男さんが邦訳したものです。祖田律男さんは韓国の古書市場で「思想の薔薇」のテキストを入手し、紆余曲折の末、翻...

2016-06-25 (土)

韓国式の産後ケア100日の軌跡

 産後ケアといえば韓国が有名ですが、日本経済新聞2016年6月14日付夕刊の記事「産後ケア、仕事復帰スムーズに」によれば、日本でも産後ケアの重要性が広く知られるようになってきたようです。産後ケアがどういうものなのか、韓国のTV局SBS放送のドキュメンタリー番組を書籍化した『韓国式の産後ケア100日の軌跡』を紹介します。韓国式の産後ケア100日の軌跡                                     原題:산후조리 100일의 기적                             出版日...

2016-06-20 (月)

はじめて読むじんぶん童話シリーズ⑤

 はじめて読むじんぶん童話シリーズの5作目『マザー・テレサのいる動物病院』(キム・ハウン著 藤原友代訳)をご紹介します。 デチョルは、ペットの犬さえも、ゲームのアイテムのように何のためらいもなく捨ててしまうゲーム中毒の少年です。ある日、動物病院の院長をしているテレサおばさんに出会います。傷ついた動物の治療や、捨て犬を救うなど、テレサおばさんの仕事を手伝いながら、生命の大切さ、共に生きること、人を助けることの喜びを学んでいきます。 マザー・テレサの生き方を通して思いやりや分かち合いの大切さを学ぶ愛の物語です。『マザー...

2016-06-12 (日)

世界の果て、彼女

 黄順元文学賞や李箱文学賞、大山文学賞など数々の文学賞を受賞し、人気若手作家として常に注目されているキム・ヨンスの短編小説集『世界の果て、彼女』(呉永雅訳 クオン)を紹介します。他者を理解することは可能だということに懐疑的で、人は他者を誤解しがちだと考える著者が、他者との「疎通」を意識しながら、軽やかな想像力と感受性、繊細な感覚表現で、日常生活の些細な亀裂、微妙な感情の揺らぎを描いた短編集です。「君たちが皆、三十歳になった時」「笑ってるような、泣いてるような、アレックス、アレックス」、「休みが必要」、「世界の果て、...

2016-06-05 (日)