教保文庫、1月の月間ベストセラー(韓国通信)

教保文庫の1月の月間ベストセラー(国内小説)をご紹介します。1位は、とどまるところを知らぬ勢いの『82年生まれ、キム・ジヨン』でした。

 

1位:『82년생 김지영(82年生まれ、キム・ジヨン)』 チョ・ナムジュ著(民音社、2016.10.14) 

2017年10月から19年1月まで、18年3月(3位)を除いて15カ月間、首位を保ち、17年4月から現在までも3位内に入り続けています。韓国では昨年11月に100万部を突破しましたが、邦訳本(斎藤真理子訳、筑摩書房)も6万7000部に上るという大きな反響を呼んでいます。著者による表題作を含むフェミニズム小説集『ヒョンナムオッパへ』(斎藤真理子訳、白水社)も間もなく刊行予定で、2月19日には著者が来日し川上未映子さんとの対談イベントが開催される予定です。

82年生まれ

82年日本語

 

 

 

 

 

 

 

 

2位:『내게 무해한 사람(私に無害な人)』チェ・ウニョン著(文学トンネ、2018.6.30)

『쇼코의 미소』(ショウコの微笑)で注目を集めた新鋭作家チェ・ウニョンの小説集2作目で、「韓国日報文学賞」を受賞した作品です。女性同性愛者二人の感情の機微を描いた「그 여름(その夏)」(「若い作家賞」受賞作)をはじめ、10代後半から20代前半の女性主人公を中心に描いた中短編7編を収録しています。

私に無害な人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3位:『아몬드(アーモンド)』ソン・ウォンピョン著(チャンビ、2017.3.31) 

短編映画の脚本や演出を手がけていた著者の初の長編小説で、第10回チャンビ青少年文学賞を受賞しました。脳の異常のため感情が欠落している少年と周囲の人々との関わりを通し、他人の感情を理解することの難しさや大切さを考えさせてくれるヤングアダルト小説です。昨年3月から10位内へのランクインが続き、注目を集めています。

アーモンド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4位:『파도가 바다의 일이라면(波が海の業ならば)』キム・ヨンス著(文学トンネ、2015.10.3)

乳児期に養子としてアメリカに送られやがて作家となった女性が、自分の過去を知ろうと韓国を訪ね、辛い現実を見出していく過程を描いた長編小説。刊行から3年以上経っていますが、今年1月初め、ソン・ヘギョとパク・ボゴム主演のテレビドラマ「ボーイフレンド」に本書が登場したことから関心が高まったようです。こうした、ドラマや芸能番組がきっかけで人気が爆発する「メディアセラー」がここ数年目立っています。著者のキム・ヨンスは、邦訳作品に『世界の果て、彼女』(呉永雅訳 クオン)、『ワンダーボーイ』(きむ ふな訳 クオン)があり、日本でも人気の作家です。

波が海の業ならば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5位:『쇼코의 미소(ショウコの微笑)』チェ・ウニョン著(文学トンネ、2016.8.10)

新人作家の初の小説集としては異例の10万部という販売部数を記録し、小説家50人が選ぶ「今年の小説」にも選ばれた作品です。「若い作家賞」を受賞した表題作「ショウコの微笑」をはじめ7編を収録。若い世代の悩みや苦しみを反映させた繊細な感情表現で、多くの読者の支持を得ました。邦訳本(吉川凪=監修 牧野美加・横本麻矢・小林由紀=訳 クオン)が刊行されたのを記念して、今年1月に著者が来日し、温又柔との対談イベントも開かれました。

ショウコの微笑

ショウコ日本語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6位:『작별(別れ)』(ウネンナム、2018.10.19)

第12回金裕貞文学賞受賞作品集で、受賞作の「작별」(ハン・ガン)の他に、受賞候補にあがった6人(カン・ファギル、クォン・ヨソン、キム・ヘジン、イ・スンウ、チョン・イヒョン、チョン・ジドン)の作品が収録されています。

分かれ

 

 

 

 

 

 

 

 

7位:『그들의 첫 번째와 두 번째 고양이(彼らの最初と二番目の猫)』(文学思想、2016.1.16)

第43回李箱文学賞作品集で、大賞を受賞した表題作(ユン・イヒョン著)をはじめ、優秀賞に選ばれた5人(キム・ヒソン、チャン・ガンミョン、チャン・ウンジン、チョン・ヨンジュン、チェ・ウニョン)の作品が収録されています。

彼らの最初と

 

 

 

 

 

 

 

 

8位:『인생 우화(人生寓話)』リュ・シファ著(ヨングムスル社、2018.7.30)

韓国を代表する現代詩人リュ・シファの寓話集。東欧で17世紀から語り伝えられている物語をもとにした寓話45編を収録しています。天使のミスでこの世の「愚か者」たちがポーランドの小さな村で暮らすことになり、突拍子もないさまざまな出来事が起こります。著者の初の詩集『君がそばにいても僕は君が恋しい』(1991)は100万部を突破したベストセラーで、邦訳(蓮池薫訳 集英社クリエイティブ)も刊行されました。

人生の寓話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9位:『옥상에서 만나요(屋上で会いましょう)』チョン・セラン著(チャンビ、2018.11.30)

『アンダー、サンダー、テンダー』(吉川凪訳 クオン)や、韓国日報文学賞受賞作品『フィフティー・ピープル』(斎藤真理子訳 亜紀書房)などの邦訳本があるチョン・セラン初の短編集です。結婚と離婚、吸血鬼、突然死など多様なモチーフの9編を収録しています。

屋上で会いましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10位:『채식주의자(菜食主義者)』ハン・ガン著(チャンビ、2007.10.30)

韓国で「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た代表作です。2016年にアジア初のブッカー国際賞を受賞して以来、コンスタントにランクインしています。きむ ふなさんの訳による邦訳版も人気です。昨年12月に、短編集『횐』の邦訳本『すべての、白いものたちの』(斎藤真理子訳)が河出書房新社より刊行されました。

菜食主義者(韓国語)

菜食主義者日本語

2019-02-15 (金)