教保文庫の2月のベストセラー、今回はエッセイ部門をご紹介します。「自分らしく生きること」「癒やし」がキーワードとなった本が多く、厳しい競争社会で他者からの視線や評価を気にして生きることに疲れた人々の姿が浮かび上がってくるようです。
1位：『고요할수록 밝아지는 것들(静かになるほど明るくなるもの)』慧敏(ヘミン)著 （スオ書斎、18.12.6）
韓国最大の仏教宗派・曹渓宗の僧侶である著者の3作目のエッセイ。前作2作『멈추면, 비로소 보이는 것들(立ち止まれば、見えてくるもの)』と『완벽하지 않은 것들에 대한 사랑(完璧でないものへの愛)』も心が癒やされると大好評を得ました。『멈추면, 비로소 보이는 것들』は邦訳版(新井満監修・訳、吉原育子訳 日本文芸社)もあります。
2位：『나는 나로 살기로 했다(私は私のままで生きることにした)』(100刷記念特別版)キム・スヒョン著 （マウレスプ、16.11.28）
韓国で60万部を突破したベストセラー。BTS(防弾少年団)のメンバーが同書を所持していたことからSNSを中心に話題となりました。世界にたった一人しかいない「自分」を大切にして生きていくために何が必要なのかを助言します。2月下旬に刊行された邦訳本（吉川南訳 ワニブックス）も大好評で、すでに3刷が決まっています。
3位：『언어의 온도(言語の温度)』(100刷記念特別版)イ・ギジュ著 （マルクルト、16.08.19）
言語には温かさや冷たさ、適度なぬくもりなど、それぞれに温度がある―。100刷、130万部突破を記念して発売された特別版。同じ著者によるベストセラー作品『말의 품격(言葉の品格)』は、邦訳本(米津篤八訳 光文社)も昨年末に刊行され、人気を博しています。
4位：『곰돌이 푸, 행복한 일은 매일 있어(クマのプーさん、幸せなことは毎日ある)』(ウィンター限定版) 原作Winnie the Pooh、チョン・ウンヒ訳 （RHKorea、18.3.12）
70万部突破を記念して発売された限定版。
5位：『하마터면 열심히 살 뻔했다(うっかり一生懸命生きるところだった)』(限定桜版)ハ・ワン著 （ウンジン知識ハウス、18.4.23）
いい大学、いい職場に入っていい人に出会って結婚し、子どもを産んでこそ初めて一人前の大人になれる―。こんな人生マニュアルはいつ誰が作ったの？ 「自分」の人生を生きるため、一生懸命生きないことに決めた著者からのメッセージ。限定版の表紙はお花見の絵です。この本を携えて桜の花を楽しむのもいいかもしれません。
6位：『오늘은 이만 좀 쉴게요(今日はこれでもう休みます)』(限定スペシャル版)ソン・ヒムチャン(ogata marito)著 （Bookrum、18.7.26）
日本人の父と韓国人の母を持ち、日本で生まれ、12歳で韓国に移住した著者による初のエッセイ集。SNSのフォロワーが7万人という人気エッセイストが、人間関係や自尊心、愛、人生に悩む人々に贈るメッセージ。
7位：『걷는 사람, 하정우(歩く人、ハ・ジョンウ)』ハ・ジョンウ著 （文学トンネ、18.11.23）
1日3万歩も歩くほど歩くのが好きで、文章を書くことも好きという、日本でも大人気の俳優ハ・ジョンウの写真入りエッセイ。
8位；『죽고 싶지만 떡볶이는 먹고 싶어(死にたいけどトッポッキは食べたい)』ペク・セヒ著 （フン、18.6.20）
10年以上、気分不全障害(軽いうつ病の症状が持続する状態)と不安障害を経験し、精神科を転々とした著者と精神科専門医との対話を綴ったもの。
9位：『골든아워. 1(ゴールデンアワー)』イ・グッチョン著 （フルム出版、18.10.2）
重症外傷専門の外科医として活躍する著者の重症外傷センターにおける17年間の記録。事故で重症を負った患者にとって、生死を分けると言われている一番大切な1時間、ゴールデン・アワー。患者を救おうと心を砕く現場の人々の苦労、医師と患者の交流など、様々な話が語られています。
10位：『참 소중한 너라서(本当に大切な君だから)』キム・ジフン著 （チンシメコッタンソンイ、18.12.5）
16年の発売から2年以上、全国の書店でベストセラーとなっていた同書の改訂版。自分らしくありのままでいることが、もっとも大切で美しいことだと伝えます。
（文/牧野美加・五十嵐真希）
