「釜山アートブックフェア」盛況 (韓国通信)

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国内外の独立出版物を展示販売する第3回釜山アートブックフェア「FROM THE MAKERS」が8月24、25の両日、釜山市影島区で開かれました。影島区は19世紀に韓国初の近代木造造船所「田中造船所」がつくられた場所です。その後、造船業の中心地として発展するなかで工場や保税倉庫も多数できました。当時、倉庫として使われていた大きな建物が、今年のブックフェアの会場です。開場前から行列ができるほどの大盛況でした。

フェアに参加したのは、韓国(ソウル、釜山、大邱など)のほか、東京や大阪、シカゴなど海外からの作家や書店、出版社、デザイナー、イラストレーター、写真家など計約100チームです。チームごとにブースで作品を展示し、来場客と活発に交流していました。

ブースを見てまわっていると、見覚えのあるイラストが目にとまりました。ソン・ウォンピョン著『アーモンド』(矢島暁子訳/祥伝社)の表紙に描かれた少年の顔です。姉妹で活動するソウルのイラストレーター「0.1」の作品でした。0.1という名前は、姉ジヨンさん(左)のヨン(0)と妹ジウォンさんのウォン(1)からとったそうで、共同作業するようになったのは5~6年前から。イラストは主にシルクスクリーンを用いて描き、イラスト入りの布カバンや巾着袋なども自分たちで裁縫して作っているそうです。

0827イラストレーター「0.1」ブース

 

 

 

 

 

 

釜山のホットな話題を提供する文庫本サイズの雑誌「다시, 부산(DASI, BUSAN)」のブースもありました。「釜山市民がつくる釜山の物語」をコンセプトに2017年創刊。クラウドファンディングで予算を確保し、市民からの寄稿文などを編集して制作しています。最新の第7号のトピックは銭湯、夏の麺料理、人物、エッセイ、ニュース、絵、旅など盛りだくさん。編集長のパク・ナリさん(中央)や編集者のチェ・ユンヒョンさん(右)、カン・ジョンミさんによると、「いつ読み返しても役に立つ雑誌」を目指し、「情報」を一番大切にして編集しているとのことでした。

0827다시부산ブース

 

 

 

 

 

 

Moshシリーズなどでおなじみの大阪のイラストレーター、タダユキヒロさんのブースや、東京のブックギャラリー「ポポタム」、東京でリソグラフスタジオを運営する「HandSawPress」のブースも人気で、次々と作品が売れていました。なかには日本語で話しかける韓国人来場者も。冷え込む日韓関係とは関係なく盛んに文化交流が行われている様子を目の当たりにし、心強く感じました。独立出版物に対する関心の高さもうかがえました。

0827タダユキヒロさんブース

0827ポポタム、HandSawPressブース

 

 

 

 

 

 

ブックフェアの一環として特別展「DRAWING BUSAN」も、同じく影島区の倉庫をリノベ―ションしたカフェ「無名日記」で開かれました。国内外のアーティスト約50チームが「釜山という都市から受けるインスピレーション」という共通テーマで描いたポスターが展示されていました。そのうち3チームはトークショー「DESIGNER TALK」に登壇。「私たちはこうやって作業しています」というテーマで具体的な作業の様子を紹介し、集まった人たちは熱心に聞き入っていました。(文・写真/牧野美加)

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