●本書の概略
子どもが環境について楽しく考えられる絵本。
空が花粉や塵でかすんでしまって、外で遊べない日。女の子はマンションの窓から、高層ビルが建てられていく様子を眺める。彼女は、外で遊ぶ代わりにお絵かきをすることにした。自分が住んでみたいマンションや街を画用紙に自由に描いていく。木や花がどんどんマンションの壁を囲み、中庭も植物でいっぱい。彼女の想像力はどんどん広がり、動物と人間が仲良く遊ぶ温室や野原もできて、夢の街が仕上がっていく。
●日本でのアピールポイント
はっきりした絵の輪郭と明るい色合い、テンポ良く進むストーリーは子どもの興味を十分に引き、絵本の魅力が詰まった作品だ。
ここ数年日本でも、建物の壁に植物を植える「垂直庭園」が駅などの公共施設につくられ、植物と街が共生する立体緑園都市構想が練られつつある。人、植物、動物が共生して美しい調和をなす街は、子どもだけでなく大人も夢に描く未来の地球だ。学齢前の子どもを対象としているが、環境破壊による大きな気候変動が問題となっている今、大人の想像力をも刺激する作品だ。子どもと大人がいっしょに楽しんでほしい絵本である。
作成:五十嵐真希