6月26日に東京堂ホールでトークイベント及び作品展が開催されるクォン・ユンドク作家の絵本『マンヒのいえ』(みせ けい訳 セーラー出版)をご紹介します。
この絵本は、作家のクォン・ユンドクさんが、ご子息のマンヒくんとマンヒくんの祖父母の家をモデルにして作成したものです(マンヒくんは、今はもう27歳の好青年です)。
狭いアパートに住んでいたマンヒとお父さん、お母さんは、おじいちゃん、おばあちゃんの家に引っ越します。祖父母の家はとても広く、たくさん部屋があります。新しい家での生活やそれぞれの部屋、庭の様子が、やさしい色彩でいきいきと描かれています。
おばちゃんの部屋にある螺鈿の家具や屏風、韓国独特の格子窓、庭の花々など、とても細かく丁寧に描かれた絵は韓国らしさをよく表現していて、子どもでも、大人でも楽しむことができます。裏表紙には水原(スウォン)の街が描かれていて、祖父母の家が水原にあることが分かります。
この本は、『12歳からの読書案内 海外作品』(金原瑞人著 すばる舎)で「絵本ならではの楽しみ方を知る」作品として紹介されています。
マンヒのいえ
ここは なや。
くらくて すずしいんだ。
だから くだものや おこめや おさけを おいてるんだって。
もう つかわなくなった どうぐも おいているよ。
なやのうえの カメを おくところが チャンドクテ。
みそガメ、コチュジャンガメ、しょうゆガメ・・・。
おばあちゃんが よくつかうカメは
しおガメ、ほしたなっぱのカメ、さかなのひもののカメ、
それに あいたふくろをいれているカメだって。
6月26日の作品展では、済州島四・三事件を題材とした『나무도장(木のはんこ)』の作品が展示されます。
とても悲惨な事件を扱った作品ですが、クォン・ユンドク作家らしいやさしいタッチで描かれており、事件で亡くなった方々への鎮魂歌となっています。
トークイベントでは『マンヒのいえ』をはじめ、これまでに制作された絵本についてもお話しいただきます。
イベントの詳細を本サイトの「お知らせ」に掲載しています。