韓国の出版事情

今、韓国でどんな本が人気を博しているか、どんな新刊本があるかなど、韓国の出版事情をご紹介します。

韓国で人気のコラージュ絵本

韓国ではここ数年、日本でも人気を集めているペク・ヒナさんの『ふわふわくもパン』や『天女銭湯』のような、韓紙人形や布、押し花など様々なものを使ってキャラクターをつくるコラージュ絵本が注目を集めています。ペク・ヒナさんの最新作のほか、人気のあるコラージュ絵本を紹介します。『알사탕(あめ玉)』(文/絵 ペク・ヒナ)色も大きさもさまざまなあめ玉。口にいれると、聞こえるはずのない心の声が聞こえてきます。木の葉にペットの犬の声まで聞こえてきます。「元気?」、「いっしょに遊ぼう!」、「大好き!」さあ次はだれの心の声かな?魔法のあ...

2017-05-04 (木)

2016年、「韓国文学」関連書の出版状況

2016年、「韓国文学」関連書の出版状況          舘野晳(翻訳家・出版文化国際交流会理事) 2016年に刊行された「韓国文学」を振り返って見ると、「小説」の奮闘ぶりが目立った。大家に属する金東仁①『小説大院宮: 雲峴宮の春』(彩流社)、李泰俊②『思想の月夜ほか五篇』(平凡社)、玄鎮健③『無影塔』(キンドル版)を筆頭に、朴景利④『完全版土地』(1・2巻、CUON)、李文求⑤『冠村随筆』(インパクト出版会)、趙世煕⑥『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)。さらに中堅・若手では、玄吉彦⑦『島の反乱』...

2017-02-03 (金)

2016年ベストセラーランキング

 松の内も明け、通常の生活に戻りつつある頃かと思います。皆さま今年の「読み初め」はどんな本でしょうか?  さて、昨年末に「教保文庫」と「yes24」から発表された資料をもとに、2016年のベストセラーを振り返ってみます。 まず、両サイトで1位、2位の座を分け合った2冊の書籍を紹介します。 1冊目は昨年マン・ブッカー賞を受賞した、ハン・ガンの『채식주의자』(『菜食主義者』きむ ふな訳 クオン)。受賞後には1日に1万冊以上という売上を見せた本書は、作品が放つ独特の世界観で世界中の読者の心をつかみ、現在も人気を集めていま...

2017-01-12 (木)

第5回『日本語で読みたい韓国の本―おすすめ30選』説明会(イベントレポート)

 9月23日、『日本語で読みたい韓国の本-おすすめ30選』第5号の説明会が、神田古書センター「ほんのまち」にて開催されました。出版関係者や韓国書籍に興味をお持ちの方など、80人近くの方々が足を運んでくださり、約2時間30分にわたる講演に熱心に耳を傾けてくださいました。 2013年に第1号が発行されて以来、本冊子は「おすすめ50選」というサブタイトルで、毎回、50冊の韓国書籍を紹介してきましたが、今回は「おすすめ30選」とし、各ジャンルから選りすぐった30冊の書籍紹介文とともに、寄稿文や、日本の本を韓国で出版した出版...

2016-09-30 (金)

韓国の小説を読む愉しみ(イベントレポート)

 韓国文学翻訳院主催によるイベント「韓国の小説を読む愉しみ」が、9月25日に東京国際ブックフェアで開催されました。 司会は作家の姜信子さん。書肆侃侃房から初邦訳短編集『アンニョン・エレナ』が刊行されたばかりの金仁淑さんと、新幹社から長編『生姜』が刊行されている千雲寧さん、3人による充実したトークが繰り広げられ、韓国文学のテーマ、表現がいかに幅があり、多彩であるかということを再認識しました。 1983年に作家活動を開始した金仁淑さんは、小説という武器で時代を告発することが自分の文学の出発点であり、社会が変化するにつれ...

2016-09-26 (月)

話題の新刊

 2016年も下半期に入りました。『菜食主義者』でブッカー国際賞を受賞したハン・ガンの『흰(白い)』、本HPでもご紹介しました『7년의 밤(7年の夜)』の著者チョン・ユジョンの『종의 기원(種の起源)』など、ここ数か月の間に、話題の作家の新刊が続々と発表されています。今回はそんな話題の新刊の中から、日本でも『美しさが僕をさげすむ』が翻訳出版されている作家ウン・ヒギョンの新刊『중국식 룰렛(中国式ルーレット)』をご紹介します。「人生を予想外の方向へ導く“偶然”についての物語」 作家自身がそう紹介するのは、2008年に...

2016-07-18 (月)

英国における『菜食主義者』の評価とは

 5月17日、ハン・ガン作家の小説『菜食主義者』がアジア初のブッカー国際賞を受賞したという嬉しいニュースが飛び込んできました。155の候補作品の中から、その頂点にふさわしいと選定された『菜食主義者』に、アジアの国々からはもちろんのこと、世界中から称賛の声があがりました。その中から今回は、英国における『菜食主義者』の評価、講評をご紹介いたします。 ブッカー賞の審査委員長ボイド・トンキン氏は、『菜食主義者』を「強烈に記憶に残る、衝撃的かつ独創的な小説で、ブッカー国際賞受賞に十分に値する作品である」「まったくもって奇抜な...

2016-05-29 (日)

韓国における子どもと読書

 もうすぐ5月5日、こどもの日。お隣の国、韓国でも5月5日はこどもの日で、祝日となっています。出版都市として有名なパジュブックシティでは、こどもの日に合わせ、童話作家がお話の中の空間を再現した「不思議なおかしな絵本村」の展示、出版社が読者を社内に招待する「出版社オープンハウス」、童話の主人公に扮した子どもたちによる「ブックシティ子どもパレード」など、多数のイベントが開催されます。 さて今回は、韓国における子どもと読書に関する動きをご紹介します。 家庭の所得格差に左右されることなく、すべての赤ちゃん、子どもたちに絵本...

2016-05-03 (火)

韓国出版文化産業振興院による推薦図書の紹介

 桃の節句も過ぎ、あちらこちらから春の便りが届く季節になりました。 今回は、韓国出版文化産業振興院から毎月発表される推薦図書の1月、2月の回から、いくつかの作品をご紹介します。『바느질하는 여자』김숨 (『針仕事をする女』 キム・スム)  現代文学賞、李箱文学賞など、数々の文学賞を受賞してきた作家、キム・スムによる、ヌビ(韓国伝統のキルト)に一生を捧げた母、ジェスクと、彼女の娘たちの人生を描いた長編小説です。生きるため、娘たちを育てるためにヌビひと筋で生きてきた母。ひと針ひと針、修練と忍耐を要する作業の繰り返しで仕...

2016-03-06 (日)

韓国ミステリー事情

 前回、前々回と韓国のジャンル小説の流れについてご紹介しましたが、今回は、創刊10周年を迎えた『本 格ミステリー・ワールド2016』(島田荘司監修 南雲堂)に掲載のコラム、「韓国ミステリー事情(2015)」の全文をご紹介します。韓国ミステリー事情 2015年、韓国ミステリー界における最大の話題は、隔月発行のミステリー専門誌『ミステリア(MYSTERIA)』(2015、Elixir)の創刊だろう。『ミステリア』は、読者とミステリー文学関係者の期待と不安が入り交じる中、大型総合出版社、文学トンネのミステリー小説専門レー...

2016-03-05 (土)